今の日本は概ね「市場の失敗」状態ではないか、さらに「政府の失敗」も起きていないか
こんにちは。本木 ななです。
私とろくがお世話になっております。
市場とは売り手と買い手が物やサービスを売買する取引を行うところであり、売り手の注文(供給)と買い手の注文(需要)が一致する値段にして取引を成立させることを「市場メカニズム」と言います。
「市場の失敗」とは、この「市場メカニズム」が十分に機能しない状態であり、効率的に財・サービスが行き渡る完全競争市場が達成されない非効率的な状態であることを言います。
経済学者の八田達夫氏によりますと、この「市場の失敗」は一般的に以下の四つの類型があるとしているそうです。
- 公共財(例:消防、警察、道路)
- 外部性・外部不経済(例:公害)
- 規模の経済・独占(例:電気、ガス)
- 情報の非対称性
このことについてさらに詳しく書こうとしましたら、以下のページを見つけました。
日本証券業協会様の記事です。
ここで最も書きたかったのは、四番目の「情報の非対称性」についてです。
「情報の非対称性」とは、市場における売り手と買い手とが保有する情報に格差がある状態を指します。
今までは「売り手のみが専門知識と情報を有し、買い手はそれを知らない」というように、概ね「買い手(需要・客)側が損する」時代が長く続いていました。
ところが、今の日本はどうでしょうか。
まず、日本では概ね「生活に必要な物は既に持っている」という人がほとんどです。
となりますと、持っていた物が壊れたなどの理由で、新しい物を買い求める必要のある人は限られます。
そしてお客さんも情報を持ち賢い人が増えていますから、欲しいからという理由で簡単に要らない物を買う人も減っています。
また、日本はアメリカや中国、欧州に比べて、国民の人口だけでなく母国語である日本語の話者数も少ないですよね。
そのためにそれらの国々と比べると、より供給過剰に陥りやすいとも言えるでしょう。
(日本では稼げないと言われる美容師さんも、アメリカではシャンプーだけで多額のお金が稼げるそうです。
これは国民性の違いなど他の理由もありますが、最も大きな理由は人口一人当たりの美容師さんの数ではないかと。
なら、日本の美容師さんはアメリカに行って商売すれば……となるのですが、そこには言語の壁があるわけです)
さらにまた、お客さんも他の先進国に比べてお金を持っていない、だから気軽に物を買えないというのもあります。
(この話にご興味ある方は、こちらの記事もご参照ください)
そしてこの状態は、これまで歴史上続いてきた「供給側と需要側の立場は、供給側の方が有利(強い)」であったのが、既に「需要側の方が有利」となっていることも表しています。
何故なら「物がない、または足りない」状態であればあるほど供給側が有利(な立場で取引できる=強い)ですが、物が溢れかえる時代では「お客さん(需要)側が自分の好きなものを選べる」立場にあります。
そこでお客さんに選ばれなければ売れないのですから供給側は必死にならざるを得ませんので、商品の持つ機能や特長などに魅力を感じて貰えなければ価格を下げてアピールせざるを得ません。
ここまでの話でかなりやばいと思うのですが、それに加えて今回の話があります。
今やお客さんはWebでたくさんの情報を得ることができますが、その情報の中には供給側である業者さんも持っていないものもあるわけです。
というのは、他のお客さんが実際に使ってみてどうだったか、という所謂口コミ情報ですね。
しかしこの口コミ情報の中には、ライバル会社の社員や何らかの利害関係者による虚偽または著しく偏りがある怪しいものも含まれています。
そのような怪しい情報も正しいものだと思って、商品を買う判断基準の一つにしてしまうお客さんもいるでしょう。
そこで、そのような怪しい情報を簡単に信用しないというのも、お客さんに求められる能力の一つとなりましたが。
この能力を持ったお客さんはどのくらいいるでしょうか?
残念ながら、この能力を持っている人は少ないのではないでしょうか?
陰謀論を信じている者もいれば、ゲームや芸能ゴシップなどの取るに足らない情報に振り回されている人はたくさんいます。
というわけで、ここで私が言いたかったことは三つ。
その一、日本は「情報の非対称性」による「市場の失敗」が起きていないか?
その二、上記の問題が認識されておらず「政府の失敗」が起きていないか?
その三、国民のお客さんに求められる能力も不足しているのではないか?
以上です。
※今回の記事を書く際にはウィキペディア様のお世話になりました
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