年越し派遣村から9年。あの時の派遣社員よりも下の立場の人をご存じですか?
こんにちは。本木 ななです。
私とろくがお世話になっております。
ある程度の年を取ると「正月は冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」みたいな気持ちになって、昔のことが思い出されます。
というわけで今回は「年越し派遣村」の話です。
年越し派遣村は2008年の年末から2009年の年始にかけて日比谷公園に開設されました。
2008年9月にアメリカの大手金融会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしましたが(いわゆるリーマンショック)、そのあおりを受けて生活困窮者が急激に増えたことがその最も大きな理由です。
そこで、それまで働いてた会社から突然派遣契約を切られた人がテレビ番組内でインタビューされていました。
いわゆる「派遣切り」ですが、この言葉が有名になったのはおそらくこの頃ではなかったかと思います。
派遣契約を切られて失業して、失業保険の給付金をもらいながら仕事を探していたけど次の仕事が決まらず貯金が底を尽きた、という話でした。
私も正社員になったことは一度もなく(試用期間中に退職)非正規雇用で長年働いてきましたし、契約期間が切れて失業したことも多々ありました。
また、ろくもずっと正社員だったわけではありません。
非正規雇用の時もあれば失業して全然働いていなかったこともあります。
それがなんと、私の失業と重なったこともありました(わずかな期間だったけど)。
というわけで、お気持ちは良くわかります。
しかし、しかしですね、私は思いました。
「まだ、ましな方ではないですか?」
本当です。嘘じゃないです。
何故ならば、上記のインタビューを受けていた人は
- 労働法の保護を受けることができる「労働者」
だからです。
「えっ? そんなん当たり前ちゃうの?」
と思った方がおられるかもしれませんが、実は当たり前ではありません。
詳細は厚生労働省の以下のページをご覧ください。
一部抜粋させて頂きます。
「業務委託」や「請負」といった形態で働く場合には、注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。
ただし、「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、その働き方の実態から「労働者」であると判断されれば、労働法規の保護を受けることができます。
というわけで、契約が「業務委託」や「請負」の場合は「労働者」ではなく「事業主」となるため、労働法の保護を受けることができません。
(その下に書かれている但し書きが有効となるには「働き方の実態からの判断」によるみたいですが、この判断ってどんなもんなんですかね?)
そこで「労働者」ではなく「事業主」となった場合ですが、つまり社員や従業員というより社長さんですよね。
「やったー! 社長だー!」
とはならないんですよねこれが。
労働者ではなかったら・・・・・・
- 1日8時間、1週40時間以内にならなくても良い
- それを超える分の残業や夜勤などの手当を払わなくても良い
っていうか、そもそも
- 一勤務何円てな契約だったら、超過し残業になった分の時間給そのものを払わなくても良い
最悪の場合は
- 一勤務何円てな契約だったら、それが終わるまで超過した日数分タダ働き
・・・・・・なんてこともあるかもしれません。
私は昔、とあるコールセンターの面接を受けたら「ここは派遣会社だけど今回のこの契約は業務請負契約で」と言われたことがありました。
たまたま当時付き合いのあった友人が、その請負先のコールセンターで仕事をしたことがあるというので話を聞いてみました。
一言で言えば、士気が最悪だったそうです(←ので、断りましたははは)。
考えてみれば当たり前の話ですが、派遣契約の人が8時間以上になる残業をすると25%割り増しがあるのに業務請負契約(以下請負契約)の人にはありません。
休日労働の割り増しなども請負契約の人にはありません。
しかしそれだけではないのです。
最も大きいのは、請負契約の人には
- 失業保険の給付金
が、ありません。
ないのは失業保険だけではなく、もちろん
- 健康保険と厚生年金
も、ありません。
だから上記派遣村の人は「まだ、ましな方」だと思ったのです。失業保険の給付金がもらえているのですから。
いやー、最悪ですやん請負って。
何にも良いことなさそうなこの請負の契約ですが、一人だけ「ありがたい」と言っていた人がいました。
その人は体を壊して仕事を辞めたのがきっかけで、そのままニートになってしまったという若者でした。
彼と話をしたのはゲームの不具合チェックの仕事場です。私と同じエリアを担当していました。
その仕事が請負の契約だったわけですが、彼は以下のようなことを言っていました。
「家にこもりがちになってから何もする気が起きなくて、毎日ずっとゲームをやっていた」
「ゲームをするのならできると思って応募して、毎日休みなしで8時間以上働いている」
「既に貯金がなくなっているので、ここでできるだけお金を貯めてから面接に行くつもり」
「他に今の自分にできる仕事はなさそうだし休む時間も惜しいから、8時間以上休日なしで働ける今の仕事はありがたい」
あーそういう人もいるんだーと思ったあの時の私(←は、若かった。笑)。
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ありがとうございました。
これからも頑張りますのでよろしくお願い致します。
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