日本の高級ホテルは外資連合(マリオット+アメックス)の本当の恐ろしさを知らない
こんにちは。本木 ななです。
私とろくがお世話になっております。
本日、日本経済新聞様(以下全部敬称略)の記事を拝読しました。
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この記事を拝読する限りでは、残念だけど「日本の業者さんはマリオットを始めとする外資の業者さんに対抗できない」のではないかと思います。
A.何でそう思うのか?
A.お前は何様やねん?
Q.マリオットボンヴォイの上級会員やってます。
……夫のろくが(←お前ちゃうんかーい!)。
それはさておき、マリオットボンヴォイとは「世界最大のホテルチェーンである『マリオット・インターナショナル』が提供する会員プログラム」です。
その会員ランクは「一般・シルバー・ゴールド・プラチナ・チタン・アンバサダー」の順に上がっていきます。
会員ランクを上げるためには、年間に所定の宿泊日数を満たさなければなりません(例えばシルバーなら10泊、ゴールドなら25泊必要)。
「うわー、えげつないなぁー」と最初は思いましたが、後に「売り上げに貢献した客はその分、それなりに評価してくれる(しかもそれを明示してくれる)ってことだから、ありがたいな」と思うようになりました。
で、ここで『SPG(スターウッド・プリファード・ゲスト)アメリカン・エキスプレス・カード(以下アメックスカード)』に加入すると、宿泊実績なしでいきなりゴールド会員になることができます。
一般的なクレジットカードではゴールドがほぼ最上位になるかと思いますが、実はアメックスカードではそうでもありません。
特典で言えばプラチナ以上でないとクラブラウンジのアクセス権の付与がなく(ホテルにもよる)、レイトチェックアウトも午後四時までにはなりません。
つまりゴールドではこれらの特典がない状態であり、体感的にはラウンジのアクセス権がない一般客に近いものとなります。
というわけで、夫のろくは「プラチナチャレンジ」をして、プラチナエリートになりました(その時の記事はこちら)。
それで思い出したのですが、今回書きたかったことは以下の記事でも触れていました。
『客を分けて対応するということ。これもまた、分散化では?!』
この時に「客の分散化」について書きましたが、今回はさらに「外資連合(マリオット+アメックス)が日本の富裕層の客の囲い込みに成功」していることまで、言及したいと思います。
このアメックスカードの上級会員の特典で「京都特別観光ラウンジ」というものがあります。
その場所がなななんと「高台寺塔頭・圓徳院」なんですね。
詳細はアメックスの『高台寺塔頭 圓徳院 客殿(旧 京都特別観光ラウンジ)』をご覧ください。
高台寺は北政所が建立したすごいお寺ですが、駅からは少々遠く不便なところにあります。
それに対してJCBは京都駅の駅ビル内に「JCB Lounge 京都(専用のページはありませんのでこの記事内をご参照ください)」がありました。
万人受けするのは、どちらでしょうか?
もちろんJCBですよね?
アメックスのラウンジは、くどいですが不便な場所にあります。
「何でこんなところに」と文句を言うお客さんもいるはずです。
アメックスは一部のお客さんに嫌われるのを承知の上で、この高台寺を選択しているわけです。
そんな一部のお客さんの代わりに「これは良い」と強く支持してくれるお客さんもいるでしょう。
そしてその支持してくれるお客さんにはお金持ちが多いことでしょう。
何故なら、高台寺の価値をわかる「余裕」があるからです。
余裕とは心や時間や頭(教養)などの余裕であり、それらに余裕のある人はお金にも余裕がある可能性も高くなります。
これは一例で、他にもアメックスのプロモーションで素晴らしいものがたくさんありますよ?
そしてアメックスもすごいですがマリオットも負けていませんで、顧客データを駆使して一律ではないプロモーションを展開しています。
例えばある時「こういうプロモーションが出た」いうツイートをする人がいても、自分がそのプロモーションの対象者ではないこともあります。
マリオットのブランドは価格だけではなく非常に細かく分類されていて、宿泊履歴等よりその顧客に合ったプロモーションがされるからです。
しかも、それだけではありません。
LTV(=ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)て、ご存じの方も多いと思いますけども。
これは要するに「その顧客がその商品を生涯使い続けると、トータルではすごい利益になるよね」て話です。
LTVは初歩的なことであり常識だ、代表的な算出方法はこれこれこうで……という優秀な人はたくさんいると思いますけど、それを実際に使える人やそういう人を上手く使えている会社って、どれだけあるのでしょうか?
なんとマリオットは、それをやっているのです。
正直、実際にこの会員資格を取るのは大変で、取得できた時には老齢で泊まりに行く体力はないのではと思います。
しかし「このようなシステムがある」ということ自体、客の立場ではとても嬉しいことなんですよ?
何故なら、これは「毎回毎回、すべての宿泊実績(=その顧客の宿泊データ)が生涯残る」ということだからです。
つまり「その客のすべての宿泊データを一泊残らず、実績としてカウントしてくれる」ということなのです。
日本のホテルはどこもかしこも「今、その時その場でお金を出している人」を最も重視していますよね。
(これは商売人として地に足がついていて、良いことでもあるとは思うのですけれど)
「できるだけ多くの客に受ける」「現在の客だから無条件で最も重視」というのは、大量生産・大量消費時代の古い価値観です。
その当時のテクノロジーでは客に沿った細かい対応ができなかったので仕方ありませんが、今は違いますから。
顧客のデータを取得し、それを活用する、かつそれを大切に保存し、それを客にも明示する、そのことで「客側もメリットを感じながら、そのサービスを使い続ける」ことができます。
対応できるのならして欲しいものですが、日本の業者さんができないのならそれができる外資を選びます。
これこそがまさに多様化の時代、ではないでしょうか。
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